校内研究
研究主題
『「分かる・できる」喜びを味わい 自ら学ぼうとする子どもの育成をめざして』
~算数的活動を通して,思考力・表現力を育成するための言語活動を取り入れた学習指導の工夫~
1 研究の目的
- 子ども達の特性を見つめ,子ども達のよさを伸ばし,未熟な点を補充・是正していく力をつけていけるように研修を深める。(子ども達のために)
- 理論的な研究を深め,実践的な研修を進めることにより,職員の資質及び指導力の向上をめざす。培った指導法,指導力を子ども達に還元する。
2 研究の基本的な考え
- 校内研究も日々の教育活動の一つであり,特別なものではない。それぞれの組織は常に学校教育目標の実現をめざして行われている。校内研究もそれらの組織と同様,最終的には学校教育目標の実現のために行われているというのが基本的な考え方である。
3 主題設定の理由
<今日的な教育的立場から>
- 教育現場では,見過ごすことのできない喫緊の課題が山積している。その中でも,学習指導要領の改訂に伴う学習内容の増加に対応するために,限られた授業時数の中で確かな学力を身につけさせる指導方法の工夫・改善が求められている。また,全国学力・学習状況調査では,「活用する力」に課題があることが明らかとなった。
- これらの課題の共通項目として「言語活動」が挙げられる。新学習指導要領では,知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力の育成のバランスを重視することを,基本方針の一つに挙げている。同時に,知識・技能の習得を重視するとともに,それらの活用を図る学習活動や,相互に関連させながら課題を解決する探求活動において,その基盤となるのが,言語に関する能力であり,「教育内容に関する改善事項」として,「言語活動の充実」が示されている。言語活動は,全ての教科の学習指導において充実させ,系統立てて組み入れることが大切となる。例えば「感想を述べ合う」「図鑑や資料を読む」「説明する」「討論会を開く」「調べた結果をまとめる」等の活動がそれに当たり,それらを効果的に組み込んだ学習活動の工夫が必要である。また,コミュニケーションや感性・情緒の基盤という言語の役割にも注目し,特別活動や総合的な学習の時間にも積極的に取り入れていかなければならない。全ての教育活動において,言語に関する能力に留意しながら,言語活動を充実させていくことで,豊かな思考力・判断力・表現力の育成につながると考える。
<学校教育目標の具現化から>
- 本校では,『「野子を愛し 未来にはばたく心豊かで活力のある子」の育成』という学校教育目標を設定している。児童像としては,「やさしく(豊かな人間性)」,「 かしこく(確かな学力)」,「たくましく(たくましい体)」を目指している。これらの目標に近づくためには,全ての学校教育活動の中で子ども達の育成を図っていくわけであるが,特に学習指導の中においては,子ども達の主体的な学習の促進と基礎的な学力の充実,さらに,子ども達相互の認め合い・支え合い・高め合う学習活動の形成が不可欠である。
- このような子どもを育成するために,児童の実態をふまえ,保護者・教師の願いをもとに,教育の今日的な課題を考慮して,『「分かる・できる」喜びを味わい自ら学ぼうとする子どもの育成をめざして~算数的活動を通して,思考力・表現力を育成するための言語活動を取り入れた学習指導の工夫~』という研究主題を設定した。本研究では,習熟の程度に差が生じやすい算数科を中心に研究を進めていく。言語活動を取り入れた学習指導の工夫,個に応じた指導のための指導方法の工夫・改善や教材の開発,児童の学力の評価を生かした指導の改善を柱に全職員で実践研究を推進し,教育目標の具現化を図りたい。
<児童の実態から>
- 野子小学校は,1,2年単式,3,4年複式,5,6年複式の小規模校である。全校36名の児童は,お互いの名前を知り家族的な雰囲気で,仲よく学校生活を送っている。休み時間には運動場に出て,体を動かして元気に遊ぶ姿が見られる。また,様々な活動において協力し合い,困っている友達を手伝い,助け合うなどのやさしい場面も数多く見られる。素直な児童が多く,学校のきまりや指導を受けたことを守ろうとする。友達に対してやさしく接する児童が多い反面,自分の思いを優先させて行動してしまう児童の姿も見られる。生活の中でより良くしようとじっくりと考え,改善していこうとする子は一部に限られていて少ない。
- 学習面では,算数科の表現・処理能力(計算能力)は,これまでの指導で計算の仕方を身につけ,しっかりと計算できる児童が多い。しかしながら,ねばり強く考えきれず,すぐに答えを出そうとする場面も見られる。筋道を立てて考えることを苦手とする児童が多いのが現状である。
- また,6年生の平成27年度全国学力学習状況調査において,国語Bでは,自分の考えをまとめたり,自分の言葉で分かりやすく説明したりする部分において,算数Bでは算数的な見方や考え方の答える部分において,正答率が県平均を大きく下回る結果となっている。そこで,「わかる授業」「自ら学ぶ学習」を通して,学び方を児童自身に身に付けさせ,基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着を図り,一人一人の児童に「わかる・できる喜び」を味わわせることで,自ら課題を見付け,よりよく問題を解決していくための意欲を高めていきたい。また,根拠を明らかにし筋道を立てて体系的に考えることや,言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを適切に用いて問題を解決したり,自分の考えを分かりやすく説明したり,互いに自分の考えを表現し,伝え合ったりすることなど「言語活動」を取り入れた指導を充実させることにより,思考力・表現力を育成していきたい。
<研究主題の意味>
- 「わかる・できる喜び」とは,自ら学ぼうとする意欲は,「わかった」と感じるときの知的な喜びがなければわき上がってこない。その喜びをもとに,さらにより難しい問題にも挑戦し,解決することで得られる充実感,成就感,達成感と捉える。
- 「自ら学ぼうとする子ども」とは,日頃から,いろいろな事象に興味・関心をもち,課題を見つけ,その解決のために創意工夫していく子どもの姿と捉える。
- 「算数的活動」とは,「算数的活動」とは,児童が目的意識を持って,主体的に取り組む算数に関わりのある様々な活動を意味している。作業的・体験的な活動など身体を使ったり,具体物を用いたりする「外的な算数的操作活動」以外にも,算数の知識をもとに発展的・応用的に考える「内的な算数的思考活動」や,考えたことを表現したり,説明したりする「算数的表現活動」も算数的活動に含まれると捉える。
4 研究の内容
- 学習指導要領の改訂の基本方針として,「算数的な思考力・表現力を育て,学ぶ意欲を高めるようにする」ことを挙げている。算数的な思考力・表現力を育て,学ぶ意欲を高めるようにするためには,小学校段階において,その基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につけさせることが重要である。また,今回の改訂では,知識技能の確実な定着に向けて,発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による教育課程が編成できるようになった。それをどう実現していくかについては,各学校や児童の実態に応じて,工夫を凝らし,具体的に指導していかなければならない。よって,各学校においては,身につけさせたい内容を「どのように指導し,身につけさせいくのか」という指導のあり方を念頭におく必要がある。
- 算数のわかる喜びや楽しさを共有するための基礎的・基本的な知識・技能を確実に身につけさせるためには,「どのような指導方法が効果的か」という指導方法の研究に取り組む。
5 研究の進め方
- 教師一人一人の個性や思い・こだわりを大切にした授業を仕組みながら,授業実践を通して,成果や課題を導き出し,次の授業に生かすことが大事だと考える。より主題に近づくために,さまざまなアプローチの仕方があってよいと思う。そこで,一つ一つの物事から共通する課題や改善点・取り入れるべき点などを見つけ出して,次の授業に生かすといった提案型・帰納法的な研究の形態をとることにする。
- 「言語活動を取り入れた指導方法の工夫」,「個に応じた指導方法の工夫」,「学習形態の工夫」などから課題を見つけ,次の授業に生かしていく。
6 研究の方法
- 授業研究を中心に取り組み,日々の授業や研究授業を通して,主題にせまっていく。
- 各学年研究授業を行う。
- 個人研究の積み重ねも研究結果につながるという考え方のもと,研究授業における個人テーマ(授業者の意図・思い・こだわり)を設定する。
- 教材の共有化を図る。
7 授業を計画するにあたって
- 指導と評価の一体化の授業を構築する。
- 本時の重点目標を設定し,授業時における学習プリントや資料・指導計画,板書,声かけなどをお互いに見合い,適切だった点,改善点などを検証し,次の指導に生かす。
8 研究授業・研究協議について
(1)研究授業について
- 子どもの学びの姿を中心に捉え,教師の子どもを見取る力を高め,よりよく改善していくために研究授業を行う。
- 「授業にパターンはない」という考え方から,自分らしい授業を行うことをめざす。学習のねらいや内容を押さえながら,自分らしさを生かした授業を計画・展開する。
- 研究授業などによって,成果と課題を共有し,うまくいった指導法や改善点を見つけ,次回の授業に生かす。(提案型の成果と課題を導き出すという考え方)
(2)研究協議について
①研究協議の考え方
- 研究授業・研究協議を通して常に教師自身が学びあう関係をつくっていく。
- 研究協議においては,子どもの姿を共有し,授業者と授業を見た他の教師が,自らの授業にフィードバックさせ,教師の専門性や資質を高めていくための手だてとする。
②研究協議の概要
- 授業者は研究協議における視点を準備する。(視点は「悩んだところ」「疑問に思ったところ」「言語活動」「子どもの学びの姿」「学習プリント・資料」「指導計画」など自由とする)
- KJ法による協議を行い,共通理解事項を確認する。また,日頃の教科指導における悩み等を情報交換し,次の研究授業に活かす。
9 本年度の研究のその他の取組(現職教育との関連)
- ICTを活用した効果的な指導方法
- 「特別支援教育」の充実(講師招聘,巡回相談,学習会など)
- 情報処理(ホームページや成績処理など)の共通理解
- アンケート内容など
野子小中学校
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