安満岳
安満岳
平戸市の最高峰である安満岳は、平戸島北西部に位置する標高536mの山です。
山頂付近は緩やかな斜面ですが、西側は断崖になっていて、国見と呼ばれる岩場からは、春日の棚田や生月島、五島列島と東シナ海などを望むことができます。
棚田を潤す森林
安満岳の山頂周辺は中世から寺院や神社が置かれた聖域であったため、森林が伐採されることが無く、今も広範囲にアカガシなどの原生林が残っています。この森は、1866年に描かれた「春日牧図」(松浦史料博物館所蔵)では「古木立」として描かれており、古くから人々に大切に守られてきたことが分かります。
また、安満岳と周辺に広がる森林は、山麓の村々の水田を潤す水の供給源でもありました。特に春日をはじめ、平戸島西海岸には、この豊かな水を用いた棚田が各地に作られ、中には標高150mを超える地点まで連続したものもあります。
多様な信仰を集める山
安満岳は古くから聖なる山として信仰を集めてきました。山頂には白山比賣神社があり、神社に至る自然石を積んだ参道は聖域の厳かな雰囲気に包まれています。
参道周辺には1868年に廃寺となった西禅寺跡があるほか、神社本殿裏の「奥の院」と呼ばれる場所には、信仰を示す石造物があります。
生月島や平戸島西海岸のかくれキリシタン信仰で唱えられるオラショの「神寄せ」の中には「安満岳の奥の院様」や「安満岳様」が出てくるなど、かくれキリシタン信仰でも安満岳は聖地と認識されていました。
また、2020年に行われた神社境内地の発掘調査では、明治時代の建物基礎の外側に江戸時代の基礎が確認され、社殿が建て替えられていたことが分かりました。さらに最下層からは平安時代中頃の遺物が見つかっており、この時代から何らかの活動があった可能性がうかがえます。
遺物の中からは寛永通宝が50枚以上検出されており、この貨幣は1636年から江戸時代を通じて作られたものです。狭い範囲でこれだけの数が見つかることは珍しく、賽銭として投じられたと考えられます。
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