トップ > 文化・スポーツ > 文化情報 > 重要文化的景観「平戸­島の文化的­景観」 > 文化的景観としての価値


文化的景観としての価値

文化・スポーツ

16世紀から続く農漁村集落の景観と文化を次世代に引き継ぐ

平戸島の文化的景観

平戸市には、谷地に広がる棚田や、丘陵地の牧野が周囲の景観と一体となって良好な農漁村景観を維持している地域が今も多く残されています。
また、平戸は1550年に県内ではじめてキリスト教の布教が行われた後、弾圧・潜伏の時代を経て現在までその信仰が受け継がれており、その中で地域固有の文化的伝統が形成されることになります。生月や平戸島西海岸地域の集落内には多くの聖具が引き継がれ、キリシタンに関連する聖地や遺跡はこの地域の景観や文化を特徴づける大きな要因になっています。

「平戸島の文化的景観」は、16世紀の東西文化交流の痕跡が文化的伝統として残り、それが当時の文書や絵図などで実証できる、有形・無形の価値が高い地域なのです。

文化的景観を構成する要素

平戸島と生月島の文化的景観は、「16世紀から継続し、発展してきた農漁村集落の景観と文化を次世代に引き継ぐ」ことを基本理念に掲げており、その構成要素となるものは『無形の要素を背景とする集落』、『生業空間』、『原生林や里山などで構成される自然空間』です。
『無形の要素』とは、その地で受け継がれてきた社会システムや信仰のあり方、多様な信仰によって生み出された聖なる空間などの象徴的なものをさし、『生業空間』とは、石積が特徴的な棚田や牧野のことをさします。

文化的景観地域については、これらの要素が作り出す“場所の持つ意味”を理解し、家屋などの建造物だけではなく、その集落の構造を保護する必要があります。

キリシタン文化を基層とする集落構造

現在の集落景観

平戸島と生月島は、集落が16世紀に存在していることを、文献史料や絵図、当時布教に訪れた宣教師の報告などで確認することができる場所であり、その後の禁教・潜伏・復活の時代において発展してきた無形の要素を確認することができる場所です。

この無形の要素が、他の集落との文化的な違いを決定づけるとともに、居住空間や生業空間など有形の要素と複雑に絡み合うことで、地域の景観を特徴づけています。

16世紀に行われた東西文化交流は、その後信仰を維持するための組を形成させ、家屋の中に納戸神と呼ばれる御神体を祀ることにつながり、潜伏期を経ることで集落内に多くの聖地や伝承地などの“場所に意味のある空間”を確立させました。

現在の景観を構成する居住空間や生業空間、自然空間の上に無形の要素が合わさることで、地域の独自性が生まれているのです。

棚田、牧野を中心とした農漁村景観

本地域の生業を示す景観として特徴的なのは、棚田と牧野であり、これらは、漁業とともに地域生活の基盤を支えてきました。生業空間に関する現在の景観は16世紀にすでに成立していたと考えられ、景観の変遷を絵図や文献で確認できる場所としても価値が高いものです。

棚田は、海岸から山間部までよく耕作されており、急斜面に分布するために高石垣がよく発達しています。一方、牧野についても牛の脱走を防ぐために腰高程の石垣が設けられており、石積みが地域の景観の大きな特徴になっています。

豊かな自然景観

温帯の西端に位置し、常緑広葉樹の林が海岸付近まで発達しています。ここに暮らす人たちは、かつて山で薪を取り、燃料として使用するほか、隣接する地域へ売買するなど、人々の暮らしと里山はより密接な関係にありました。

これらの林は、海からの潮風・強風を防ぐ防風防潮林になっており、現在の特徴的な景観を形成する大きな要素となっています。
また、これらの自然空間の一部は、“聖なる場所”として認知されています。

お問い合わせ先

文化観光商工部 文化交流課 文化遺産班

電話:0950-22-9143

FAX:0950-23-3399

(受付時間:午前8時30分~午後5時15分まで)

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は見つけやすかったですか?

このページは分かりやすかったですか?

このページの情報は役に立ちましたか?


トップへ戻る